ヘアオイルの量の目安は、ショートで1プッシュ前後、ミディアムで2プッシュ前後、ロングで3プッシュ前後です。ただ、この数字どおりにつけても、ベタついてしまう方と、つけたのにパサついたままの方に分かれます。
分かれ目になっているのは、量ではありません。どのくらい濡れた髪につけているかです。同じ2プッシュでも、ずぶ濡れの髪につけるのと、ほとんど乾いた髪につけるのとでは、髪に残る量がまったく変わります。
お風呂上がりにタオルで拭いたあと、毛先をぎゅっと握ってみてください。手のひらが濡れるようなら、まだ水が多すぎます。握っても手がうっすら湿る程度なら、オイルをつけるタイミングです。この一手間を挟むだけで、量を減らさなくてもベタつきは止まります。
ヘアオイルはどれくらいつければいいですか?
まず目安をお伝えします。お使いのものがポンプ式かスポイト式かで1回の量が変わりますので、プッシュ数は「このあたりから試す」という出発点として見てください。
長さと毛量でだいたい決まります
| 髪の長さ | 毛量が少なめ・細め | 毛量が多め・太め |
|---|---|---|
| ショート(あご上) | 半プッシュ〜1プッシュ | 1〜1.5プッシュ |
| ミディアム(肩まわり) | 1〜1.5プッシュ | 2プッシュ |
| セミロング(鎖骨下) | 1.5〜2プッシュ | 2〜3プッシュ |
| ロング(胸下) | 2〜3プッシュ | 3〜4プッシュ |
毛量が多い方ほど量が要るのは、オイルが行き渡る面積が広いからです。感じ方や仕上がりには個人差がありますので、半プッシュ単位で上下させて、ご自身の落ち着くところを探してください。
この表は「乾かすと広がる方」の量です
上の表は、乾かしたあとに広がりやふくらみを感じる方を基準にしています。髪が太め、硬め、量が多めの方はここに当てはまることが多く、表の数字どおりで落ち着きます。
反対に、乾かすとぺたっとする方は、表から0.5〜1プッシュ引いてください。細い髪、やわらかい髪、量が少なめの方です。この髪質で表どおりの量をつけると、毛先はまとまっても、トップが重みで潰れて一日中ふくらまなくなります。足りなければ次の日に増やせますので、まずは引いた量から試してください。
髪質によって、つける位置も変わります
量だけでなく、どこに入れるかも変えたほうが早いです。
| 乾かしたあとの出方 | 量 | つける位置 |
|---|---|---|
| 広がる・ふくらむ (太め・硬め・量が多め) |
表のとおり | 中間から毛先へ。表面にも薄くなでつけてよい |
| ぺたっとする (細め・やわらかめ・量が少なめ) |
表から0.5〜1プッシュ引く | 毛先だけ。表面にはつけず、髪を持ち上げて内側から入れる |
| 毛先だけ乾く (中間から上は落ち着いている) |
表の下限 | 毛先に集中させ、手に残った分も中間から上には回さない |
ぺたっとする方が表面からオイルをつけると、根元に近いところまで乗りやすく、分け目が割れて見えます。髪を持ち上げて、内側だけに入れてください。同じ量でも、外から見えるふくらみが残ります。
くせやうねりが強い方は、広がるほうに当てはまっていても毛先だけ硬いことがあります。その場合は2段目と3段目を組み合わせて、全体は控えめに、毛先だけ厚めにしてください。
迷ったら、少ないほうから始めてください
足りなければ、乾かしたあとに少し足せます。けれど、つけすぎたぶんを後から減らすことはできません。はじめは目安の下限から入って、乾かし終わったときに毛先が物足りなければ次回から増やす。この順番のほうが失敗しません。
同じ量でもベタつくのは、髪の濡れ具合が違うからです
ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。量の調整で行き詰まっている方は、たいていこのタイミングがずれています。
タオルドライのあと、毛先を握ってみてください
濡れた髪には、すでに水がたっぷり入っています。そこへオイルを足すと、水の膜に押し出されて、オイルは髪の表面に薄く広がるだけになります。乾かしているあいだに水は飛びますが、表面に残ったオイルはそのまま残る。これが「量は多くないのにベタつく」状態の正体です。
目安は、毛先を握って手のひらがびしょびしょにならないところまで。タオルの当て方そのものを見直したい方は「タオルドライのコツ|髪が早く乾く正しいやり方を美容師が解説」もあわせてご覧ください。ここが整うと、オイルの量の話はほとんど解決します。
反対に、乾きすぎているとどうなりますか?
ほとんど乾いた髪につけると、今度は最初に触れた毛先だけがオイルを吸ってしまい、中間から上には何も行き渡りません。毛先だけ重く、中間はパサついたまま、という仕上がりになります。朝のスタイリングで足す場合をのぞけば、オイルは「湿っているうち」につけたほうが均一になります。
つける前に、手のひらでしっかり広げていますか?
手のひらに出したオイルをそのまま髪に触れると、最初に当たった一束だけが濃くなります。両手をこすり合わせて、指のあいだと手首の近くまで伸ばしてから、髪に入れてください。同じ量でも、広がり方がまるで違います。
つける順番は、毛先からです
順番を変えるだけで、量はそのままでも仕上がりが変わります。
- 手のひら全体に広げる — 両手をこすり合わせ、指のあいだまで伸ばします
- 毛先から入れる — いちばん乾燥しているところに、いちばん多く届けます
- 中間へ、下から持ち上げるように — 表面をなでるのではなく、内側から握るように入れます
- 手に残った分だけ、顔まわりと表面へ — ここは「残り」で足ります
- 根元にはつけない — つけるのは耳から下、と決めておくと迷いません
根元を外すのは、地肌が脂っぽくなるからだけではありません。根元にオイルが乗ると、立ち上がりが潰れて分け目が目立ちます。トップのボリュームが気になっている方は、「髪のボリュームが出ないのは、髪が減ったからですか? 分け目・トップの見分け方と、手をつける順番|施術3万人以上の美容師が解説」のほうも読んでみてください。オイルの位置を変えるだけで印象が変わることがあります。
つけすぎてベタついたときは、どうすればいいですか?
洗い直さなくても、たいていはその場で立て直せます。
その日のうちにできること
- 乾いたタオルで、毛束を挟んで軽く押さえる — こすらず、挟むだけです。表面の余分がタオルに移ります
- ブラシで全体にとかし広げる — 一か所にたまったオイルを、毛先全体に散らします
- ドライヤーの冷風を当てる — 温風だとかえって柔らかくなって広がりません
とかし広げるときは、毛先がからまっていない方であれば天然毛のブラシが向きます。ブラシそのものの選び分けは「豚毛と猪毛はどっちがいい?ヘアブラシの違いを美容師が解説」にまとめています。
翌日の洗い方
シャンプー前に、ぬるま湯で1分ほどしっかり流してください。オイルの大半はこの段階で落ちます。そのうえで、いつものシャンプーを泡立ててから地肌につける。洗浄力の高いものに持ち替えなくても、順番を守れば落ちます。
オイルとミルク、どちらを使えばいいですか?
どちらが優れている、という話ではありません。設計の向きが違います。
| オイル | ミルク(エマルジョン) | クリーム・バーム | |
|---|---|---|---|
| 主な役割 | 表面をなめらかに整える/ツヤ | 水分を抱えさせる/やわらかさ | 毛先に動きを出す/まとめる |
| 向きやすい髪 | 太い・硬い・広がる | 細い・パサつくのにぺたんとする | くせが出る毛先・ショート |
| つけるタイミング | 乾かす前(毛先中心) | 乾かす前(中間から) | 乾かしたあと |
40代を過ぎたあたりから「以前と同じオイルなのに、つけてもパサつくし、量を増やすとぺたんとする」というご相談が増えます。これは髪が細くなってきたときに起こりやすい現象で、オイル単体では水分が足りていないことが多い。そういうときはミルクを先に、オイルを後に重ねると落ち着きます。
なお、広がりの正体がうねりであれば、オイルの種類を変えるより先に見るところがあります。「髪のうねりはなぜ出てくる?原因と、家でできる対策・お店でできる対策|施術3万人以上の美容師が解説」と「乾燥毛が広がらないようにするコツ」もご参考にどうぞ。
毎日のつけすぎは、5年先に効いてきます
ベタつきが気になると、しっかり落ちるシャンプーに持ち替えたくなります。その日はすっきりします。けれど、乾いた毛先はまたオイルを欲しがり、量が増え、またしっかり洗う。この往復を何年も続けた髪は、毛先が硬くパサついて、最後は切るしかなくなります。
洗浄力の高いシャンプーが悪いわけではありません。頭皮が脂っぽい方には合いますし、そういう設計で作られています。問題になるのは、つけすぎと洗いすぎが組み合わさったときです。
とはいえ、毛先が硬くなる理由がオイルのつけすぎだけだと言い切れるものでもありません。カラーの重なりやアイロンの熱も、同じだけ効いてきます。だからこそ、毎日くり返している一手間を整えておく価値があります。今日のベタつきは量で変えられますが、5年先の毛先を決めるのは、つける位置と洗い方のほうです。
表だけでは決まらない、3つのこと
ここまで量の目安と順番を書いてきましたが、実際には表に載せきれない条件が効きます。
- カラーやパーマの履歴 — 薬剤が重なった毛先は水も油も入りやすく、抜けやすい。同じ量でも持ち方が変わります
- アイロンを毎日使うかどうか — 熱を入れる前提なら、量だけでなく種類の選び方が変わります
- 地肌が脂っぽいか、乾きやすいか — 根元を外す範囲と、シャンプーとの組み合わせがここで決まります
この3つは、ご自身で判断しないほうが早いところです。鏡の前で見えるのは表面だけで、毛先の中の状態や履歴の重なりは、触って確かめないと分かりません。
ご相談いただくときは、「ヘアオイルを選びたい」よりも、「いまオイルを◯プッシュ使っていて、夕方になるとベタつく(またはパサつく)」と伝えていただけると、話が早く進みます。候補を2つ3つに絞ったうえで、最後の1つは髪を見て決めましょう。
よくある質問
乾いた髪につけてもいいですか?
かまいません。朝のスタイリングで毛先を整えるときは、乾いた髪につけるほうが扱いやすいです。ただし量はぐっと減らしてください。夜の半分以下、毛先だけに触れる程度で足ります。乾いた髪は吸い込まないぶん、表面に残りやすくなります。
朝と夜、どちらにつけるべきですか?
基本は夜、乾かす前です。熱が入る前に毛先を覆っておくほうが、仕上がりが落ち着きます。朝は、寝ているあいだに乱れた毛先を整える目的で、少量を足す使い方になります。両方つける場合は、合計が夜1回分を超えないくらいが目安です。
頭皮についても大丈夫ですか?
少し触れるぶんには問題ありませんが、狙ってつけるものではありません。根元に乗ると立ち上がりが潰れますし、夕方のベタつきにもつながります。地肌のうるおいが気になる場合は、頭皮用に作られたものを選んでください。かゆみや赤みが出ている場合は、ご自身で判断せず、必ず医師にご相談のうえで検討してください。
開封してからどれくらい使えますか?
商品によりますが、開封後は半年から1年を目安に使い切るのが安心です。香りが変わった、とろみが出てきた、といった変化を感じたら使うのをやめてください。浴室に置きっぱなしにすると温度と湿度で傷みやすいので、保管は洗面台など乾いた場所がおすすめです。
シャンプーで落としきれていない気がします
その感覚は、たいていシャンプー前のすすぎが短いことから来ています。ぬるま湯で1分流してからシャンプーに入ると、ずいぶん変わります。それでも重さが残る場合は、量そのものではなく、つけている位置が根元に寄っている可能性があります。つける範囲を耳から下に限定してみてください。
最後に
ヘアオイルは、量を正解に合わせる道具ではありません。どのくらい濡れた髪に、どこから、どの順番でつけるか。そこが決まれば、量は自然とご自身にちょうどいいところへ落ち着きます。
いま使っているものが合っているのか、量なのか種類なのか分からない——そんなときは、髪を見せていただくのがいちばん早いです。写真でも構いませんので、気軽にご相談ください。
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